野鳥録音の編集と分析

編集の基本
  かつて、音の編集には2台以上のテープデッキ、それぞれにアンプとスピーカー、さらにミキサーなど、スタジオを作らないとできませんでした。ところが、コンピュータを使用することによっていとも簡単にプロ並みの編集作業ができるようになりました。
 また、声紋による分析も高額な分析機に加え、分析できる音源は数秒、かつ手間のかかる作業がともないました。これも、コンピュータによってごく簡単にできるようになりました。
 野鳥録音を思う存分に楽しむ時代が到来したのです。
 編集と分析は『野鳥を録る』に、くわしく解説していますので、ここでは基本的なことを解説しておきます。

ハードウエア

これだけでスタジオと
同じ機能が
  現在、発売されているコンピュータであれば音を扱うことができます。もし、新規に購入するのであれば、できる限り高性能(早いCPU、大容量のHDDを設置)、静音をうたっているデスクトップが望ましいでしょう。
 コンピュータへは、録音機からUSB経由で取り込むことができます。SDカードを使用しているのであればカードリーダーでも取り込めます。
 音のモニターのためにスピーカーも必要です。少なくともミニコンポ程度のシステムを組み、コンピュータと接続するようにします。また、データのバックアップ用に外付けでHDDを増設しておきましょう。

ソフトウエア

 アドビ・オーディションの声紋編集画面
 ソフトウェアは、ウィンドウズ系であればウィンドウズXP以降ならば十分、音の扱いに対応できます。
音の再生については、ウインドウズXPにはメディアプレイヤーが標準装備されていますが、音を編集、加工するための音系のソフトが必要です。さまざまなソフトがありますが、ノイズを取り除くためには波形表示だけではなく、スペクトラルグラム(声紋)表示ができるものが便利です。この他、音を重ね合わせるクロスフェード(ミキシング)が簡単にできるものが有効です。
 多くのソフトは、お試しができますので実際に使用してみてから購入したらよいでしょう。
 私の現在使用中のソフトウェアは、基本ソフトはウィンドウズXP、音楽編集ソフトはAdobe Audition3.0(図は、このソフトの編集画面)。声紋分析ソフトは、フリーのSpectrogram Ver.16.0を使っています。

編集の実際

2つの音をつなげる
クロスフェード
  まず、音源をコンピュータへの取り込みます。
 急に音が大きくなるとびっくりします。まずは、だんだん音が大きくなるようにフェードインさせます。同じように、終わりもだんだん音が小さくなるようにフェードアウトさせておきます。
 大きなノイズの入っているところ、鳥の鳴いていない所など、いらないところを削除して、のちのちの編集のときにため、ファイルを小さくしておきましょう。
 自然のなかで録音すれば「ゴーッ」というグランドノイズがあるものです。グランドノイズが小さければ、100〜500Hz以下のボリュームを下げればよいでしょう。それ以上の音域にノイズがある場合は、野鳥の声を損なわないように少しずつ試しながら取るとよいでしょう。ノイズを取る前に音が変わったらわかるように元の音を何度も聞いておくとよいでしょう。
 図は、2つの音を繋げるときのクロスフェードのようすです。3〜5秒の余裕を持って、繋げると不自然さを感じないでつながります。
 いくつもの音源を並べてCDに焼く場合などは、ボリュームが同じでないと不自然です。同じ大きさに聞こえるように、調整しましょう。このとき、波形表示がわかりやすいのですが、自分の耳でも聞いて確認しましょう。

声紋分析


コマドリの声紋
 コンピュータによる声紋分析ができるようになりました。声紋によって鳴き声による種類の識別、確認が容易になりました。声紋分析の分類学への応用が期待できます。図は、コマドリの声紋です。「ヒン、カラカラ」の「カラカラ」が、何回繰り返されているかわかります。
 この他、キツツキ類が1秒間に何回つついているかなど、時間を計ることができます。音の高さ、強さ、倍音など音の質がわかります。
 いろいろな節を不規則に繰り返す、オオルリやクロツグミなどのさえずりの構成がわかります。コジュケイの真似と思われるキビタキのさえずりも比較をすることで、どれだけに似ているかわかります。
 ハシブトガラスなど、さまざま鳴き方をする鳥については、地鳴きの意味がわかることでしょう。たくさんの野鳥が鳴いているコーラスの構成も分析することができます。これ以外にも、いろいろ応用することができると思います。皆さんのご興味と感性で、まだまだ録音の世界は広がっていくことと思います。(2009年8月31日・起稿)


野鳥録音の方法

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