R-09使用リポート



 DATなき後の次期録音機として、メモリー録音機と流れができてきました。『野鳥を録る』を執筆当時(2004年)、入手可能だった機種は、マランツのPMD670ただ1つ。さらには、Hi-MDが出始めた頃でもあり、流れを読めない感じでしたが、今流れはメモリー録音機になったと言っても間違いないでしょう。しかし、各社からさまざまな機種が発売されています。今回は、ROLANDのR-09を入手いたしましたので、使用感を報告いたします。どうぞ当機、導入のご判断の参考にしていただければ幸いです。
 なお、使用したR-09は特定非営利活動法人・バードリサーチより、お借りしたものです。 画面上をお借りしてお礼申し上げます。


1.使用機種と比較機種

○ROLAND R-09(黒)[写真右]
     シリアルナンバー:DV28208
○ソニー リニアPCMレコーダ PCM-D1[写真左]
    シリアルナンバー:A100310
○ソニー DATレコーダ PCM-M1
     シリアルナンバー:532296
 ※使用に当たっては、R-09のメモリカードを添付の64Mから2Gに換装、システム・プログラムをVer.1.10よりVer.1.20にバージョンアップしています。


2.使用期間

 2007年2月より2007年6月・使用続行中


3.使用場所

 栃木県日光市五葉平
 千葉県習志野市茜浜
 埼玉県さいたま市大久保農耕地(写真)
 東京都文京区六義園
 東京都豊島区染井墓地
 東京都三宅島
 鹿児島県奄美大島など


4.セットと本体の外装

 中型のタッパウェアほどの大きさの箱に、本体、マニュアル、64MのSDカード、ACアダプター、USBコードなどが入っています。
 本体の大きさは、ほぼタバコの箱くらいの形と大きさです。ようするにシャツの胸のポケットに入るサイズです。重さは、単三バッテリを装てんして140gです。PCM-D1と比べて体積でおよそ半分、重さで4/1の軽さです。今までさまざまな録音機が出ていますが、もっともかさばらない機種のひとつと言えるでしょう。
 正面に液晶画面、録音やプレイボタンが並び、記号や操作は、かつてのテープレコーダなどと同じですから、操作にとまどうことはないでしょう。
 これらの上に小さなボタンでメニュー、リバーブ(再生時の効果)、リピートの各ボタンが並んでいます。さらに、右上に小さな窓は音が大きな入ってきたとき赤いLEDが点灯してピークを知らせてくれます。
 左側には、パワースイッチ。数秒の長押しでスイッチが入ります。その下が、録音ボリュームの調整です。この調整は、録音ボタンが押されていないと作動しません。さらに、この下に蓋を開けるとAC電源の端子があります。
 右側は、ヘッドフォーンアウト、ヘッドフォーンボリューム調整ボタン、ホールドがあります。
 上には、内蔵マイクが左右に付いています。左右のマイクの間には、マイク入力とライン入力の端子があります。
 底の蓋を開けるとUSB端子とSDカードの差し込み口があります。さらに、ボタンを操作して蓋を開けると電池室が開くことになります。
 裏には、スライドスイッチが4つ並んでいます。AGCのオンオフ、MonoかStereo、Low cutのオンオフ、マイクゲインのLowとHighのセレクトです。AGCは、入ってくる音を一定する機能ですが、オンにするとバックノイズに変化が出てしまいますので、基本的にはオフ、もちろんStereo、Low cutはオフ、マイクゲインはHighに設定しています。初期のロットは、このスライドスイッチを一つ動かすと全体が動いてしまいチャチな感じがしました。現在、使用している機器では、これは改善されたようです。
 なお、使用モデルは黒ですが、2007年1月より白と赤のモデルが追加されています。

5.初期設定


 スイッチを入れ、メニューボタンを長押しするとメニューが出てきます。これで、サンプルレートの44.1kHzか48.0kHz、16bitか24bit、あるいはMP3各種。最大のファイルの大きさ。液晶の点灯時間、オートパワーオフの時間、時間設定などを行います。このほか、電池の種類の設定やプラグインパワーのオンオフなどがあります。
 システム・プログラムをバージョンアップすることで、録音ボタンを押した時に点灯する赤いLedを消すことができます。
 いずれの設定も、メニューが浅いので、簡単にできると思います。
 私の場合、サンプリング周波数は48.0kHz16bit、ファイルの最大の大きさは2G、オートパワーはオフ、電池はNi-NHなどに設定しています。


6.操作性


 パワースイッチを長押しして液晶が点灯し、立ち上がるまで約5秒。RECボタンを1度押すとポーズ状態となり、もう一度押すと録音が始まります。RECボタンをちょんちょんと2度押しすれば、それでも5秒程度で録音開始です。
 パワーを入れておき、ポーズをかけておいて、ポーズをはずし録音ボタンを2度押せば、わずか2秒ほどで録音を開始することができます。ポケット入れておき鳥の声がしたら取り出し、録音するまで2,3秒しかかりません。おかげで録音チャンスを逃すことが少なくなりました。また、これらの一連の動作は慣れれば片手でできる上に、いずれの動作も小さいため鳥を驚かすことなく録音することができるでしょう。

7.録音の実際

 内蔵マイク付き録音機が、いかに簡単便利か。鳥を脅かさないで録れるか。PCM-D1で体験ずみです。さらに、このR-09で実証することができました。
 とくに、R-09は小型軽量であるために長い間、手持ちで録音しても苦になりません。また、形状とプラスチック部分の材質の関係か、グリップノイズが入りにくいこともり、これまた長時間の手持ち録音が可能です。さらに、持つのに困っても小型軽量であるため、周りを見回して小枝でもあればその上に置いたり、自然の中ならばちょっと置くスペースを見つけることが簡単にできます。
 さらに、巣のそばやソングポイントに置いての放置録音でも、鳥を警戒させることは少ないでしょう。


8.内蔵マイク

 内蔵マイクの録音時の設定は、マイクゲインはHighで、録音ボリュームはいっぱいの30にしています。よほど鳥との距離が近いか大きな声で鳴く鳥でない以外、めいっぱいの設定でないとメインの音を12〜24dbで得ることは難しいと感じました。PCM-D1の内蔵マイクの感度はよく、同等のゲインを得ようとするならば録音ボリュームの目盛りは5〜6で十分です。また、DAT録音機のPCM-M1ですと目盛りを8〜10に合わせていましたので、PCM-M1と同等のゲインを得ているという印象です。
 問題なのは、録音モードでないと録音ボリュームの変更ができないことです。そのため、最大の30に固定しておくしかありません。もし、録音中にボリュームを変えようとしてボタンを押せば、それがノイズになってしまいます。どうも、この設定の方法は実際に録音をしたことがない人が設計したとしか思えません。
 ただ最大の設定ですと、インタビューや他の音を録る場合は大きすぎるので、設定を変更するのを忘れると音が割れてしまいますので、注意が必要です。
 ステレオ感は、あまり感じません。するどい立体感という感じには聞こえませんが、音源が右から左に移動していった場合、音の移動はわかります。また、中抜けした感じで録れたことはありません。
 音は、48.0kHz16bitで録音している限り、悪い印象はありません。ノイズの多いところで、たとえば我が家のベランダからヒヨドリの声を録った場合、同じステイタスで録ったPCM-D1との違いを見つけるのが難しいくらいです。
 PCM-D1の最高品位の96kHz24bitの設定で、なおかつ静かなところで録音した場合、透明感のようなものがPCM-D1の音にはあるように感じることがあります。また、並べて録音した場合には虫の羽音などがPCM-D1では大きく録れていて、R-09ではあまり聞こえないという違いがありました。
 基本的には、低音域から高音域までムラがなく、クセを感じるような音ではありません。低音から高音まで、幅広い音を録音しなくてはならない野鳥録音には、十分たえる能力があると思いました。
 ただ、個体によってはノイズが出ると言われています。これは、R-09の先輩ユーザーのこけこっこさんとTさんから指摘があったものです。ノイズは、7,500Hz、15,000Hz、22,500Hz付近に連続してあるものです。実際は、ほとんど聞こえませんが、声紋分析などを目的にした場合、じゃまなパターンとなります。
 現在、私が使用している機器では、15,000Hz、24,000Hz付近にうっすらと出ます。最初にバードリサーチからお借りした機器では、ノイズのパターンが見えず、増幅して15,000Hz付近にやっとうっすらと見える程度のものでした。どうやら、初期ロットで酷いようで、個体による差もありそうです。
 こけこっこさんが、このノイズについてROLANDに問い合わせた結果「信号回路がディスプレイの真下にあることで、ディスプレイの発するノイズを拾うために起きていることがわかりました。この現象は、ノイズの大きさに個体差があるものの、製品の仕様上発生します。」という返事をもらい修理ということでしたが、全取っ替えでまだノイズパターンがあったということでした(当BBSのNo.338-341参照)。なお、TさんはROLANDの対応に満足できず、R-09の使用を断念いたしました。

当BBSでも話題になったノイズ
 とくに左チャンネルの24,000Hz付近で著しい。このコアジサシの声紋のように高音域まで音が広がっている場合、じゃまになる。

PCM-D1との比較例:R-09によるヒヨドリ
収録年月日:2007年2月19日
収録場所:東京都文京区駒込
録音メモ:ベランダでの録音。つぎのPCM-D1とほぼ同時録音。未加工。

PCM-D1との比較例:PCM-D1によるヒヨドリ
収録年月日:2007年2月19日
収録場所:東京都文京区駒込
録音メモ:ベランダでの録音。前のR-09とほぼ同時録音。未加工。

低い音の例:ツツドリ
収録年月日:2007年5月6日
収録場所:栃木県日光市五葉平
録音メモ:ボリュームアップ。2kHz以下のノイズを軽減。

高い音の例:コアジサシ
収録年月日:2007年6月10日
収録場所:千葉県千葉市
録音メモ:放置して小一時間録音したファイルの一部。2kHz以下のノイズを軽減。


9.外付けマイクでの録音

 すでにお気に入りのマイクを持っている場合、外付けでマイクを使用することができます。
 マイク端子は、ステレオミニです。フジプランニングのパラボラ・マイクのLISNは、プラグインパワーでないと使用できませんが、R-09のメニューにおいてプラグインパワーをONにすることで使用可能となります。
 私のお気に入りのAT825Nを装着して使用してみたところ、録音ボリュームいっぱいに上げて録音しても内蔵マイクの音の大きさまでにはならず、やや物足りない感じがしました。音質は、外付けマイクの性能によるところが大きいと思いますが、低音や高音が強調されるようなことはなく、自然な感じに録れましたので、マイクアンプはまずまずだと思います。
 当該のノイズですが、外付けマイクでもうっすらとパターンがでます。
 ただ、外付けマイクを使用することで、R-09の機動性や携帯性が失われることになります。実際、マイクのAT825NのほうがR-09より大きいのです。そして、マイクコードの操作も必要なのですから、R-09の特性を生かせないことになります。

内蔵マイクの例:クロツグミ
収録年月日:2007年5月7日
収録場所:栃木県日光市五葉平
録音メモ:R-09の内蔵マイクによる録音。つぎのAT825Nを外付けしての録音とほぼ同時。未加工。

外付けマイクの例:クロツグミ
収録年月日:2007年5月7日
収録場所:栃木県日光市五葉平
録音メモ:R-09の内蔵マイクによる録音。前のAT825Nを外付けしての録音とほぼ同時。未加工。


10.ディスプレイ

 27×13mmの液晶で、メニューの操作から作動状態の確認をすることになります。
バックライトが点灯した状態での視認性は、炎天下では見えにくいものの、日陰ならばバックライトなしでも見えます。逆に、夜だと明るいくらいで、夜の鳥を警戒させないか心配になるほどです。
 ただ、いかんせん文字や記号が小さい。帯状に動くレベルのようすと大きめの文字の録音時間は見えるものの、残りの録音可能時間、バッテリー残量などのアイコンはとても見にくいし、バッテリー消耗のメッセージが出てもなんかのかわからないことがありました。私も含め、老眼の高齢者には見づらいディスプレイです。


11.風防


 自然のなかでの録音は、風との戦いでもあります。そのため、風対策がうまくできるかが、録音機の可否を決める要素のひとつとなります。
 R-09は、風についてはまったくの無防備でスポンジも添付されていませんし、オプションにもありません。オプションのケースを付けるとさらに風よけがしづらくなるほど、風対策については考えられておらず、室内での使用のみを前提に設計したのではないかと思うほどです。
 内蔵マイクの感度がそこそこ良いため風が少しでも吹けば「ボッボッ」とノイズとなります。また、風の音は幅広い音域に広がっているので、Lowcutではカットしきれないのです。
 そのため、どどどさんは自作のウインドジャマーを提案しています。
http://dddo.cocolog-nifty.com/test/2006/06/info_jedirol_ro_ee7d.html
 私の場合は、トモカ電気で見つけたアメリカ製のWind TechのMic-muff(どちらが会社名でどちらが商品名か)のMM-18がぴったり合ったので、これを使用しています。ただ、このジャマーのみならず、なんらかの器具をマイクにかぶせると、マイクと液晶との距離が近いために液晶が見なくなるのは避けられません。小さい機材だけに、構造上しかたないかもしれませんが、それだけに専用のジャマーをオプションで付けて欲しいものです。
 なお、使用感は音がこもったり小さくなるようなことはなく、ちょっとした風、表現が難しいのですがそよ風には効果あり、びゅーびゅーという風では音を拾います。


12.バッテリ


 バッテリの持ち時間を判断するのはむずかしいものです。基本的に、録音しっぱなしということはありません。鳥が鳴くまで、録音のスタンバイ状態でいることが多くあります。そのため、何時間録音できたという比較が難しいのです。また、現在ENELOOPを使用していますが、電池の劣化もありますし、充電してから1週間以上放置したあとに使用することもあります。そのようなさまざまなケースで検証し比較することが難しいことをおことわりしておきます。
 印象でいえば、けっこう電池は持ちます。現在、多くの場合PCM-D1のバックアップという使い方をしています。要するに、同じ所で同じ時間、作動させていることが多いのです。そのため、PCM-D1の少なくとも倍以上の作動時間が得られている印象があります。また、PCM-D1が単3タイプ4本いるのに対して、R-09は2本ですむのですから、持って行く乾電池の量は少なくとも1/4ですむことになります。
 また、電池交換のために電池室の蓋の開け閉めがとても面倒だと悪評です。PCM-D1の電池蓋のロックは甘く、ショックで電池が飛び出して録音に失敗したという書き込みをWeb上で見たことがあります。私が今、愛用しているデジカメのキヤノンS80の電池蓋もロックが甘く、カメラをケースから取り出す時に蓋が開いてしまい、撮影チャンスを逃すことがあります。
 R-09の場合、なれれば簡単に蓋を開けることができるでしょう。ロックが甘く電池が飛び出して録音に失敗してしまっては元も子もありません。私は、このくらい厳密なほうがありがたいと思います。


13.ケースと三脚

写真協力:日光野鳥研究会Aさん、Oさん
 本体のままでは、三脚に取り付けるネジはありません。三脚に取り付けるためには、オプションの専用カバーを買う必要があります。専用カバーには、汎用カメラ三脚に取り付け可能な ネジ穴があります。これには、小型の三脚がセットになっています(商品コード:OP-R09C)。実売価格は、5,670円です(2007年6月現在)。
 また、専用カバーに入れることで、ストラップを付けて首からぶら下げて、使用することも可能です。


14.ファイルの転送と形成


 裏蓋をずらし、USBコードをつないでコンピュータにデータを転送します。
 この場合、R-09本体の電源を入れる必要がありますし、電池の容量がなくてはなりません。
 また、逆転送も可能で、音楽をmp3ファイルに変換して転送しておいて、mp3プレイヤーとして聞くことも可能です。PCM-D1は、mp3ファイルに対応していないので、この機能に関してはR-09のほうが上です。実際に音楽を転送して試聴したところ、かなり大きなヘッドホーンで聞いても音域に不自然なところはなく、ヘッドホーンアンプもそこそこの性能があると思いました。
ファイル名は、R09_0001から順についていくだけです。SDカードをフォーマットをしたり、ファイルを全消去すると最初からR09_0001とついていきます。
 PCM-D1は、日付+番号というファイル名ですので、本体がリセットされないかぎり同じ名前のファイルができることはありません。
 R-09の場合、同じファイル名が形成されますので、上書きして前のファイルを消してしまう恐れがあります。そのため、コンピュータに保存するときに日付と収録地名のついたフォルダを作り、そこに保存しています。ただし、フォルダを間違えると上書きしてしまう危険があります。くれぐれも、フォルダごとの整理をしている場合、保存やフォルダ移動で、上書きしないように注意しなくてはなりません。
 これらを回避するためには、フォルダに保存した後、すぐに種名や地名などを付けて名前の変更を行い、同じファイル名が存在しないような工夫をしておく必要があります。
 なお、音の編集ソフトは付いていません。そのため、フリーソフトを用意するか、別に購入する必要があります。

14.価格

 現在(2007年6月)の価格.COMの最安値は、33,000円台です。これに送料や送金手数料などを加えると、3,4000円。おおむね36,000円台というのが、平均価格です。これに、SDカード、電池、ジャマー、専用カバーなどを買いたして、50,000円ほどで実用可能ということになります。
 PCM-D1が、発売以来一年半以上たつのに160,000〜180,000円という価格にほとんど変化がありません。これ比べて、約1/3以上安いという価格とこの性能は、お買い得感を感じます。
 バードウォッチャーにしてみると50,000円の双眼鏡というのは、ベーシックな性能を持った価格帯の双眼鏡ということになります。私は「バードウォッチングを始めるのならば、少なくとも双眼鏡に50,000円はかけてください」と言っています。その双眼鏡とほぼ同じ価格と考えると、そこそこの双眼鏡を手に入れたのと同じ喜びに浸ることができることでしょう。

15.まとめ

 DATからメモリ録音機への変更は、フィルムカメラからデジカメに替えた時とよく似ています。PCM-D1は一眼デジカメ、R-09はまさにコンパクト・デジカメと言った感じです。R-09は、ポケットからさっと取り出して、すばやく録るデジカメです。チャンスを逃がさない操作性と大きさ、そして価格ということになるでしょう。
現在、R-09はおもにPCM-D1のバックアップとして使用しています。電池切れ、メモリがいっぱい、そして録音したつもりがポーズがかかっていて録音していなかったという苦汁は何度も味わっています。それが、R-09のおかげで安心というわけです。それと同時に、ポケットから取り出して録音のチャンスを逃すことがなかったお陰で、R-09でしか録ることのできなかった音もあるのです。また、ソングポイントや鳥の来そうなところに置いておき、長時間録音することで手元に置いておいたPCM-D1では録れなかった音が録れたこともあります。
 たとえば、早朝の野鳥のコーラスのピークは、30分です。その間、あっちで鳴いている、こっちで鳴いていると、録音機の設置ポイントに悩んでいるいるうちに鳴きやんでしまうということになりかねません。そんなとき録音機が2台、3台あれば、時間を無駄にすることはないでしょう。その1台として、有効な機種だと思いました。
 また、録音の初心者でもまさにデジカメ感覚で使用できるので、不明な鳥が鳴いていたらとりあえず録音し、先輩のバードウォッチャーに聞いてもらい教えをこうことができます。私のところにも不明の鳥の声の問い合わせが多数ありますが、カタカナや感じをいくら言葉で表してもわからないものはわかりません。たとえノイズだらけの音であっても録音されいたらわかるものはわかることでしょう。「百見は一聞しかず」です。
 R-09のような機種がバードウォッチャーの間で普及したら、鳴き声で判断すればすぐにわかるムシクイ類の新記録がたくさん増えるかもしれません。また、亜種間の鳴き声の違い、地域差などを調べる場合、サンプル数の多さが研究成果に大きく作用します。研究者がサンプルを集めるためのレコーダとしては最適でしょう。
 といって、フィールド用のレコーダとして万全というわけではありません。いくつかの問題があることは、述べておきました。また、なんと言っても全体のチープ感はいかんともしがたいものです。持っていて、誇りに思うような作りでないのが寂しいです。さらに、まだ数ヶ月しか使用していませんが、右側面のゴムが浮いてきています。マイクの部分を押せば、プラスチックが「ギシギシ」鳴ったりする作りは不安です。野外で使用するものである限り、堅牢さも性能なのです。
 メーカーには、これらの問題点を改善し、より良い機種としてこのシリーズを成長させて欲しいと思います。そうすれば、世のバードウォッチャーの楽しみが広がっていくことは間違いないでしょう。[2007年6月25日・起稿]