PCM-D1使用リポート
その3
−再生と編集


1.ファイルの形成

 録音を終了すると自動的にファイルが形成されます。ファイル名は、録音した年月日に録音された順にプラス2桁の数字が付きます。たとえば2006年3月29日の最初に録音された音は”06032900”というファイル名となります。次の録音は”06032901”となり、1日100ファイルまで録音が可能ということになります。よほど変わった使い方をしない限り、その日のファイル名がたりなくなることはないでしょう。
 また、録音が終了した時間がファイル作成時となり、時間がつきますので、録音時間もわかることになります。試しに、ファイルを削除してみましたが、削除されたファイル名は欠番となり、同じファイル名は作成されることはありませんでした。ただし、電池が切れて時計がリセットされると、その時点で00からファイル名が作られますので注意が必要です。メーカーサイトのQ&Aには電池交換のときに「時計設定は、10分後にリセットされてしまいます。」とありますが、実際は数分と短いのでご注意ください。
 私は、テープだと上書きしてしまい前の録音が消えてしまわないかと心配になり、ときおりテープエンドを確認しています。貴重な録音ができたときほど、これが心配になり、ある意味ストレスです。メモリ録音だと、この心配はいらず録音に専念できるのはうれしいことです。


2.USBによるファイルの転送

 音源をコンピュータに取り込むのは、本体のスイッチを切りUSBコードをつなぎます。自動的に本体の液晶が点き、コンピュータと繋がっているアニメーションが表示されます。コンピュータからは、PCM-D1はUSBマスストレージクラスデバイスとして認識されます。ファイルの移動は、ドラッグアンドドロップでお好みのフォルダーに移すだけです。
 ただし、USB1.0だと時間が結構かかります。10分間の48kHz16bitの音源をコピーするのに、約2分かかります。96kHz24bitだと、約6分かかります。


3.デジタル・アウトとアナログアウト

 PCM-D1からデジタルアンプに直接つないで音を聞くことができます。デジタル端子にケーブルをつないで聞きます。
 私のアンプ(マルチメディアアンプ:RP-U100)につないだところ、音がでません。これは、96kHz/24bitで録音したもので、アンプが48kHz/16bitまでしか対応していないためでした。せっかくの高品位録音もヘッドフォーン端子からアナログINで聞くしかありませんでした。


4.ファイル分割

 あまり私には使用することはないと思いますが、録音した音源を分割することができます。これは、音源を再生して分割する場所でとめて、DIVIDEボタンを押すとそこでファイルが分割されます。これにより、ファイル名の後に”-1”と”-2”と付いて二つのファイルとなります。
 メモリが残り少なくなった時に、不必要な部分を分割して削除するという時に使うのでしょうか。野外でこのような操作をするのは、やや不安があります。


5.PCM-D1への逆転送

  PCM-D1をMP3プレイヤーとして使えないか、音源ファイルをコンピュータから転送してみました。残念なことに、認識するのはWEVファイルのみで、MP3やWMAのファイルは転送することはできても表示されることはなく聞くこともできませんでした。
 PCM-D1のサイトでは、本機で録音したもの以外、再生できないと明記されていますが、DATで録音したWEVファイルを転送した場合、聞くことができます。また、メニューは英語表示で日本語表示ができないということになっていますが、ファイル名に日本語あった場合、これも表示されました。
 内蔵メモリが4Gあるのですから、WEVファイルの野鳥の声や音楽を転送して、行きの電車のなかで聞きながら目的地に向かい、現地に着いたら削除して録音をする。そして、帰りは録音したものを聞きながら帰路に就くという使い方ならばできそうです。


6.ストレージ
 問題なのは、内蔵メモリ4Gの容量です。これだけあれば、日帰りの録音行ならば十分なのですが、連泊するような旅行では心許ない容量となります。そのため、内蔵メモリからストレージにデータを保存することを考えました。しかし、ソニーお客様ご相談センターに問い合わせたところ、PCM-D1からUSBでつないで転送できるのはコンピュータへであって、転送可能なストレージは今のところないことがわかりました。
 そのため、メモリスロットに推奨しているメモリースティック、2GのMSX-M2GNU を刺し、メニューで”M.S.”へデータの保存先を変えて録音することにしました。そして、メモリースティックがいっぱいになったらメモリーを抜いて、ストレージにデータをコピーする方法で旅行中にメモリ不足にならないようにしました。
 なお、ストレージはSONYのHDPS-M10を選びました。これは、40Gありますから1週間程度の旅行ならば十分でしょう。サイズは、DATウォークマン程度の大きさで機材としては、さほど大きくありません。ただし、バッテリーが内蔵のために電源アダプターを持って行かなくてはなりません。このバッテリーの消耗はけっこう早いのです。そのため、旅行というと携帯電話、デジカメ、ニッケル水素電池、そしてこのストレージ用とアダプターを布袋いっぱい持って行かなくてはならないのがつらいですね。


7.コンピュータでの編集


 PCM-D1には、音源編集ソフトとして”DigiOnSound5Express for Sony”が、同梱されています。約1万円ほどのソフトですから、ちょっと得した気分になれます。しかし、PCM-D1を買うような人はすでに編集ソフトは持っていることでしょうから、その分安くして欲しいとも思います。
 さて、市販のDigiOnSound5Expressとの違いは、20bit、24bit、32bitのファイルをあつかえると言う機能が追加されています。また、PCM-D1ではあつかえないMP3、mp3PROに対応していないという機能低下がされています。結果、なんとも中途半端なソフトになっています。
 私は、Adobe Audition 1.5で、いつも編集しています。また、DigiOnSoundは旧バージョンのDigiOnSound2 Ver.2.10Aがインストールされていますので、こちらを使ってみました。いずれも、96kHz/24bitの音源の編集が可能です。
 ただし、旧い音楽ソフトや何かのおまけについているソフトでは、96kHz/16bitや96kHz/24bitの高品位のデータをあつかえないことがあるので、同梱の”DigiOnSound5Express for Sony”を使うことになります。ただし、このソフトを使って96kHz/24bitで録音した音源をCDに焼くために44.1kHz/16bitに変換したところ、ノイズが発生したというWeb上の書き込みがありましたのでご注意ください。
 私の使用しているAdobe Audition 1.5とDigiOnSound2 Ver.2.10Aで、96kHz/24bitから44.1kHz/16bitにコンバートしてみましたが、ノイズが乗ることもなく適切に変換できました。ただし、不思議なのは Adobe Audition 1.5では、96kHz/24bitのファイルが96kHz32bitと表示されます。ファイルを開く時のプロパティでも編集中に下に出る表示も同様でした。DigiOnSound2 Ver.2.10Aでは、適切に表示されますので、Adobe Audition 1.5のほうの問題だと思います。


8.追記

a.落下実験
 思わぬことで、落下実験をしてしまいました。1回目は公園のベンチから土の地面、約50cmの落下です。その後、機能には問題がありませんでした。つぎに、胸の高さ約120cmから砂利道に落としてしまったことがありますが、これも機能的には問題を生じていません。いずれも、録音状態などの起動中ではありません。DATのPCM-M1ですと胸の高さからの落下実験では、硬い地面や床であればかならず壊れます。修理代数万円を覚悟し、入っていたテープがオシャカになってしまいます。現状では、PCM-D1は堅牢な印象を受けます。
 上面と裏面の黒い部分は、かなり硬く今のところ傷が付くようなことありません。液晶、アナログメータの透明な部分も傷が付いていません。しかし、側面の銀色の部分は柔らく、すでに傷が数ヶ所付いています。
 なお、ストレージHDPS-M10の落下実験では、50cmほどの高さからフローリングの床に落としましたが、今のところ大丈夫です。

b.バッテリの持ち時間
 現状で困っているのは、バッテリの消耗状態がいまいち把握できないでいることです。使用していると、カタログどおりではないことは明らかです。録音を繰り返していると20-30分ほどで、バッテリが無くなることがあります。逆に、放置したままの録音では、メモリステックの2Gいっぱい録音(48kHz16bit)約2時間42分録音しても、バッテリ表示は一目盛り減っただけでした。スイッチを入れたまま、6時間液晶を付けっぱなしした状態ではバッテリ表示が一目盛りも減りませんでした。
 PCM-M1ではバッテリ表示が最後の目盛りになっても、かなり長時間録音することができますが、PCM-D1では最後の目盛りになるとあっという間に無くなる感じです。このあたりの感覚を把握しておかないと、現場であせることになります。
 いずれにしても、野外に出る時は予備にバッテリを2セット(8本)を持って行きます。基本的は、スイッチを入れてHoldをかけておき、鳥が鳴いたら、Holdを解除して録音ボタンを押します。そうすると、起動時間が節約できるので数秒で録音状態にできます。これができるということは、貴重なチャンスを逃すことなく録音できるということで、メモリ録音機ならではの機能と言えるでしょう。


9.終わりに


 今まで使っていた録音機をDATからPCM-D1への変更は、フィルムカメラからデジカメに替えた時とよく似ています。フィルムがいらなくなり、フィルムの残りを気にせず撮影に専念できる喜びです。ときかくバシバシ撮り、失敗作はあとで削除すれば良いのです。そのために、シャッターチャンスを逃すことはなく、思わぬ作品を撮ることができます。しかし、その反面、撮影時の気の入れようがずさんになり、なんとなく気の抜けた作品がたくさん溜まることになります。録音では、そのようなことにならないよう、気合いを入れて録音をするようにしなくてはなりません。
 このようにして増えたファイルの整理も頭が痛い問題です。写真ですと、ビュアー機能のある整理ソフトで写真そのものを見ることができるので、何が写っているファイルかすぐにわかります。ところが、音はそうはいきません。いちいち聞かなくては、わからないのです。今のところ、録音から帰ってきたら、まず日付と地名の入ったフォルダーを作り、そこにファイルを保存。さらにバックアップをして、記憶のはっきりしているうちに音を聞いて、ファイル名に録音されている鳥の名前を入れるという作業を行うようにしています。
 まだ数ヶ月の使用期間ですので、使いこなしたとは言えません。しかし、PCM-D1を使用することで野鳥に与える影響が少なくてすみ、より良い録音ができることは間違いありません。また、内蔵マイクを使用すれば録音のチャンスを逃すことも少なくなりました。野鳥の声の魅力を楽しめる機材として、PCM-D1は手放せなくなりました。(2006年5月5日・起稿)